sPLA2-III過剰発現マウスにおける炎症の自然発症
本論文では、分泌性ホスホリパーゼA2 (sPLA2) のひとつであるIII型sPLA2 (sPLA2-III) 過剰発現マウスが自然炎症を発症することを報告している。ヒトsPLA2-IIIをマウスの全身に過剰発現させたマウスは9ヶ月以上飼育すると皮膚炎を自然発症する個体が高頻度で出現し、そのような群では肺や肝臓の炎症像や脾臓肥大も観察された。皮膚炎発症部位はアトピー性皮膚炎の病理像と類似しており、炎症性・TH2サイトカインの発現増加や好中球・マクロファージの浸潤、PGE2の産生亢進が顕著であった。この結果は、sPLA2の過剰発現が炎症を惹起することを明確に示した初めての報告である。
Sato, H., Taketomi, Y., Isogai, Y., Masuda, S., Kobayashi, T., Yamamoto, K., and Murakami, M.
Group III secreted phospholipase A2 transgenic mice spontaneously develop inflammation.
Biochem. J., 42, 17-27, 2009