Research_13 of LMMHS

sPLA2-IIDの免疫抑制機能の普遍性


 リンパ組織の樹状細胞に高発現しているIID型分泌性ホスホリパーゼA2 (sPLA2-IID) は、抗炎症性のω3脂肪酸代謝物を構成的に動員することで接触性皮膚炎におけるTh1免疫応答を抑制する(Miki et al, J Exp Med 2013)。本論文では、sPLA2-IIDの欠損および過剰発現マウスを用いて、本酵素の免疫抑制機能の普遍性について検証した。その結果、sPLA2-IIDはリンパ組織の脂質バランスを構成的に免疫抑制の方向にシフトさせることにより、リンパ節炎症(急性炎症)、接触性皮膚炎(Th1応答)、乾癬(Th17応答)の各炎症病態を改善する一方で、抗腫瘍免疫を抑制して皮膚癌を促進することがわかった。このことから、ω3脂肪酸代謝物動員酵素としてのsPLA2-IIDの免疫抑制作用は病態に応じて体に良い方向にも悪い方向にも作用し得ることが明らかとなった。

Miki, Y., Kidoguchi, Y., Sato, M., Taketomi, Y., Taya, C., Muramatsu, K., Gelb, M.H., Yamamoto, K., and Murakami, M.
Dual roles of group IID phospholipase A2 in inflammation and cancer.
J. Biol. Chem., 291, 15588-15601, 2016


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