Research_12 of LMMHS

sPLA2-Xはω3高度不飽和脂肪酸の動員を介して潰瘍性大腸炎の抑制と受精の促進に関わる


 X型分泌性ホスホリパーゼA2 (sPLA2-X) は大腸粘膜上皮と精子に高発現している。本論文では、sPLA2-X欠損マウスと過剰発現マウス、ならびに他9種類のPLA2サブタイプの欠損マウスを用いて、大腸炎と生殖におけるsPLA2-Xに固有の機能を解明した。

(1) 大腸粘膜上皮のsPLA2-Xは抗炎症性のω3脂肪酸を動員することで大腸炎を抑制する。一方、大腸炎抑制に関わるPGE2の動員には主にcPLA2αが関わる。
(2) 精子のsPLA2-Xにより精子膜リン脂質から遊離されたドコサペンタエン酸(DPA)は精子と卵子の受精を促進する。

 従来、sPLA2-Xはアラキドン酸代謝を介して炎症に関わることが強調されてきたが、本研究はsPLA2-Xがω3脂肪酸動員酵素として大腸恒常性と生殖に関わることを明らかにした初めての報告である。この研究成果は「Journal of Biological Chemistry」誌に掲載された。

Murase, R., Sato, H., Yamamoto, K., Ushida, A., Nishito, Y., Ikeda, K., Kobayashi, T., Yamamoto, T., Taketomi, Y., and Murakami, M.
Group X secreted phospholipase A2 releases ω-3 polyunsaturated fatty acids, suppresses colitis and promotes sperm fertility.
J. Biol. Chem., 291, 6895-6911, 2016

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