毛包のsPLA2の同定:sPLA2-IIE
我々は昨年度、表皮の主要な分泌性ホスホリパーゼA2としてIIF型sPLA2(sPLA2-IIF)を同定したが(Yamamoto et al, J Exp Med, 2015)、本論文では別のアイソザイムであるIIE型sPLA2(sPLA2-IIE)が毛周期に応じて毛包に発現誘導されることを発見した。sPLA2-IIE欠損マウスの毛包では毛包上皮(cuticle)と体毛(hair shaft)の乖離が認められ、一部の毛包関連遺伝子の発現が変化していたが、表皮に異常は見られなかった。これら一連の研究は、皮膚に高発現している2種のsPLA2(毛包のsPLA2-IIEと表皮のsPLA2-IIF)の機能的相違ならびに各酵素が固有に動員する脂質の重要性を初めて明らかにしたものである。
Yamamoto, K., Miki, Y., Sato, H., Nishito, Y., Gelb, M.H., Taketomi, Y., and Murakami, M.
Expression and function of group IIE phospholipase A2 in mouse skin.
J. Biol. Chem., 291, 15602-15613, 2016